2013年9月16日月曜日

【書評】大本営参謀の情報戦記

■所感
・情報の軽視により、何百万人もの人命が失われた。その悲劇を二度と繰り返さないためにと筆を取られた著者の切なる願いがビシビシと伝わってくる。

・毎期末になると気合と根性だけで乗り切ろうとする。扱う数字はノルマだけ。戦略策定前に市場や競合他社の動向を集めた形跡がない。過去の成功に胡座をかいて競合他社をどこか見くびっている。旧日本軍と同じような構図が身近な会社にもある。

・宣伝と区別の付かない情報に踊らされている自分に気づいた。その表面的な情報を撒き散らす自称コンサルタント。これは有害以外の何者でもない。本当に価値のある情報が容易く入手できるなんて幻想。現場で地道に得た情報こそ価値がある。

■今日の赤ペンチェック
・戦略の失敗を、戦術や戦闘で取り戻すことは不可能である。

・情報を重視し、正確な情報的視点から物事の深層を見つめて、施策を立てることが緊要となってくる。

・情報を無視した戦略はいかに大きな犠牲をともなうか

・情報は常に作戦に先行しなければならない。

・情報とは相手の仕草を見て、その中から相手が何を考えているのかを知ろうとするものだ。

・相手の心を聞くには相手に近寄る以外にない。

・情報は収集するや直ちに審査しなければならない。

・情報は第五課のソ連嫌いのように、まず疑ってかからねば駄目である。

・とかく自分に有利に進展しているときには、自分のレンズで相手を見て我田引水の結論を導き出すことが多い。

・親独という眼鏡をかけて読むと、推測や仮定が真実に倒錯するから、情報は二線、三線と異なった複数の視点の線の交叉点を求めないと危険なことをよく示している。

・ドイツが勝つという断定は、判断ではなく親独の眼鏡を透した願望であった

・数字的思考(の欠如)が日本軍の思考を常に精神主義の方へ走らせた原因でもあった

・孫子
爵禄百金を惜しんで、敵の情を知らざるは不仁の至なり、人の将にあらざるなり、主の佐にあらざるなり、勝の主にあらざるなり

■明日から具体的にやること
・日経ビジネス・ブログ購読中止
広告を目的にした記事が多い。

・国内外の複数のメディアから情報を集める。情報源を決める。

・本当に価値のある情報は自分で苦労して得るものと心得る。読む本を厳選する。

■総評
★★★★★

0 件のコメント:

コメントを投稿